なにが「聖」で、なにが「悪」か
第一話/その存在「なんだ、この荒んだ場所は・・・。」
黒い羽をもち、しかし頭には白く輝くリングが見える。
「・・・ふーん、自分勝手に動く連中が多いんだなぁ、ココは。だから、こんなに荒んでるんだ」
カレ?カノジョ?の見える視界の中には、せわしく動き回る人間の姿がある。
だが、その人間たちはそれぞれ、勝手に動いている事が多く、それを統括する人間もまた、自分勝手に怒り、罵り、そして自分の保身の為だけに動いている。
仮に「堕天使」とした黒き羽に白き輪を持つ存在。
これが人間の元にやってきたのには理由がある。
堕天使たるものを呼び寄せるだけの力が働いたからに他ならない。「…ここに来た理由は…ただ一つ。再生か、破滅か。まぁ、それを決めるのはココに居る人間たちだけどね」
そう呟くと、手のひらになにやら半透明に輝く球体を持ち出す。
そして、ソレを目の前に居る人間たちに投げつけた。
果たして、人間たちは「その他大勢」を打ち消すように動き出す。
それは…言い換えれば地獄絵図。「・・・ふん、やっぱり破滅か。なんでこうも、自分のことばかり考える連中なんだろうね、人間って言うのは。利用できるものならばなんでも利用する。そ して、得るのは自分の欲望。
それが俗に『犯罪』と言われようと、好き放題やってのける。いや、自分の権力で『犯罪』とは言わせないんだろうね。…ほら、その権力を振りかざして、更な る破滅を導くヤツらがやってきたよ」暴徒と化した人々を止めに入っているはずの人々。一様に決まった制服を身に付けているが…しかし、止めに入り、それが無駄だとわかった所から、止めに 入ったはずの人々さえも、暴徒と化して行く。
「あーあ、完全なる「消滅」でも望んでいるのかね、この人たちは。まぁ、きっかけを与えたに過ぎないのに、ここまで出来るなんて、ある意味凄い事だとは思 うけど。
…
誰かの上に立って、何かを成さねばならない。なのに、結局は下の者を痛めつけ、自分が優位でなければ満足できない。
そして、結局は競争社会。ライバルを蹴落としては、その屍の上に立ち、すがる者さえ、除外する。
…
…他に気を遣うって事をしても良いんじゃないのかなぁ?と思うんだけど、そんな余裕はないのか。でなければ、こんな荒んだ縮図は出来ない・・・よね」
余裕のない人々、それらの閉じ込めている思いを剥き出しにすると、こんなことが起こる可能性も、少なからずあるかもしれない。
出来る事ならば、自分の勝手な視線、立場だけではなく、一歩下に、いや、もっとずっと下の立場に立って上を見上げる余裕があると、地獄絵図はもう少し、救 いのある縮図を描いたのかも知れない。
「・・・どちらにせよ、この現実を導いたのは、他でもない、ココの人間たち。余裕があれば、なんて言うけど、それは常々『自分から創り出して』行かないと ダメなんじゃないのかな。
…
でも、この先、どんな未来がきても、知った事ではないか。天にも、地上にも、地獄にも見放された堕天使は人の『望む』姿を映し出して居れば満足だし、そん な荒んだ場所でも生きられるからね」
そう言い残し、堕天使は姿を消した。
後に残ったのは、互いを蹴落としあう、汚い想いの持ち主たちと、その場を惨劇と言い表すべき地獄絵図。第一話 −End−