あ とがき in 『異聞DragonQuest5 〜天空と龍、交わるとき〜』
暫く前に書き 終わったものですけど・・・。
そもそも、本 来のドラクエ5(スクウェア・エニックス)は、主人公の性別が選べません。子供として青年として父として、それぞれの時代の自分を生きていく、男の子の物語、 と言うのがドラクエ5です。本来の副題名が「天空の花嫁」であるところからも、主人公は男なんだなと言うのは、容易に想像ができることだとは思います。
さて、そんな ドラクエ5でしたが、ある時、「Pixiv(ピクシブ)」と言うイラスト投稿サイトで、「性転換DQ5主人公」とか、「性転換涼宮ハルヒコの憂鬱」と言ったイ ラストを見かけました。初めはハルヒコの方を中心に見ていたのですが、ある時、ある絵描き様の描く「性転換DQ5主人公」がとても可愛かったと言うのに、とて つもない衝撃を受けました。
それから色々 とサイトを調べたら、ある小説(ラノベ)投稿サイトにすでに、この性転換主人公の物語が描かれていたのです。「うむ、残念」で終わるはずだった自分ですが、そ の絵描き様は色々なシチュエーションを描かれていて、夢中になってしまいました。また、他の絵描き様は、「主人公ではなくて、生まれてくる子供が性転換バー ジョンだったら」と、女天空の勇者(子供)を描かれたりもして、「この性転換ってのはなかなか面白い感じがする」と自分で思っていたのです。ただ、すでに文章 を作るのが上手な方が、性転換主人公のお話を完結させていたと言うのがネックでした。
「主人公性転 換」だと、主人公は女性なわけですから、天空の血を引く者として候補が上がるのは数少なく、しかもそれは大体、運命付いてしまっているカップリングでし た。・・・が。自分はそのカップリング(主人公×ヘンリー)と言うのが嫌でした。…ヘン リー、好きじゃないんですよ、実は。
そこで考えま した。
「理由はともか く、性転換してしまったと言うのは、一つのイベントとして扱ってはどうだろう?」
と。…もともと 主人公は男の子だった。そこから物語は始まる。最終的に主人公は仇敵を討ち男としての自分を取り戻す。・・・うん、いいんじゃね?
そんな感じで 作り始めたと言う、実に簡単な理由でした。ただ、何分、先行して小説を作り上げた作者さんが居ると言うのも含めて、タイトルをそのまま、と言うのもなんか抵抗 がある。と感じて、手っ取り早い「異聞」、すなわち、これはこれで別の話です、と付けて作り始めました。
が、プロット などを作ってみると、主人公が性転換させられ、女の子として生活をする理由があまりないんです。幸い、主人公の父は悲運をたどり、仇敵が主人公にはできる。こ れは本筋でも同じこと。と言うことで、女の子に仕立て上げたのは仇敵のこいつにしようと決まりました。「けど、それで創ると普通にドラクエ5じゃん」ってなっ てしまったのです。
で、色々と考 えて・・・。ドラクエはT〜Vは「勇者ロトの伝説」として語られたゲーム、そしてW〜Yは「天空の勇者の伝説」として語られたゲーム。今回は5なので、天空の 勇者の伝説で決定、次に、ゲームを歴史的に並べると、Y、W、Xと言う順番になる。これでオリジナルの要素を組み込めない物かなと。
ドラクエはリ メイク版として、色々なハードで発売されていますが、Vについて、裏ダンジョンの途中に「ゼニス」を名乗る街があるんです(多分街…だと思います)。自分はや り込み派「ではない」ので、このゼニスと言う場所がどんな場所か分かりませんでしたか・・・「ゼニスって、Yに出てくるよなぁ」となりまして。
「よし、一気に Vから話をつなげてしまえばいいじゃないか」
と、なったので す。
…自分、意外 と歪曲して物事をとらえたりする部分があります。親友たちからはそんなものの見方が「天邪鬼だ」とよく言われます。
さて、物語と してうまく書けるか。物書きの端くれが、無い脳をフル回転させて、つじつま合わせのプロットづくりをしました。幸いなことに、リメイク版Vの裏ダンジョンのス タートと言うのが、これまたVで重要であり、「ドラゴンクエスト」の名の象徴である「竜の女王の城」だったりしたもので。あとはどんどん、でっち上げて行け ば、なんとかなる。みたいな感じで執筆し始めました。
意外とスラス ラかけたもので、序章でV登場の竜の女王をどう扱うかとかもあるのですが、そこは万能なオリジナルキャラクター(しかも精霊ルビスの名を語る者)の投入で解決 しました。X本編についても、解釈とかX世界の原理・秩序などは一切無視と言うか、オリジナルとして作ることにして、順調に話を作ることが出来ました。あと は、XがXたる所以のシステム「モンスターを仲間にする」と言う部分で、どモンスターをチョイスしていったらいいんだろうか?と。これはちょっと苦労しまし た。モンスター爺さんの所にはスライムがいて、彼が最初の仲間になる、と解釈される方は意外と多かったのですが、自分はここにいるのを敢えてブラウニーに変え ました。仲間にした直後、馬車入手のために行った店で主人公の言う「ブラウン、このカウンターをぶっ壊せ!!」 と言うのは今でも好きなセリフだったりします。あとはスライムとスライムナイト、途中で父・パパスに親しいものと、母・マーサに親しいものを仲間にしていく、 と言う大筋で何とか丸め込みました。
かくして、 「異聞DragonQuest5」は出来上がりました。
本筋(ゲーム や先に話を作られた方)と、この話は名前こそ一緒でも、違うものです。と言う意味を含め、「異聞」であること、タイトルがゲームはすべて大文字(DRAGON QUEST)なのに対しして、こちらは頭文字だけが大文字、何より副題名が違う、と言った感じで差別化をしたつもりです。
もし気になっ て、読んでいただけると嬉しいなぁ。そして、「こんなドラクエもありだな」なんて思っていただけるともっと嬉しいなぁ、と思いつつ、あとがきといたします。
2014/06/08 琥珀翠紅