Angel’s Whispers -天使のささやき- SECONDRY WORKS
『電影少女 -Video Girl AI 2018-』 After Story Vol.4
「なぁ、あい。翔のところのアイはこれから何をすべきなのかな?」
翔のおじ、洋太が隣に立つまだ、少女ともとれる女性につぶやく。その女性は洋太を見上げると、洋太と視線を合わせる。
「…そ れは向こうのアイが探すこと。オレは「応援するぜ」と名を変えたけど、翔君のところのアイはまだ多分「慰めてあげる」のままだと思う。…と言うことは、ま だ翔君にとってアイが居なくなることが早いと言うことなんだろうって思う。…一応、ヨータのビデオガールなんだぜ、オレも。同じビデオガールの、同じ天野 アイのことくらいならば想像がつくさ」
そう、洋太の隣であいは笑顔を見せる。
ちょうど同じころ。
アイは何となく暖炉の火を見つめるのが好きになっていて、毎晩暖炉の火を見つめていた。その傍らにはいつも翔がいてくれた。
「なぁ翔。冗談は抜きにして、オレは…翔の何がかなえたりなくてテープに戻らなかったんだろうな?」
「…俺 は…正直言えば、まだ…もしかしたらずっと慰めたりないんじゃないかと思う。懸命に一人で生きる人には失礼な話だけど、俺は出来ればアイとずっと…それこ そおじさんのところのあい以上に長い時間、アイと一緒に居たいと思ってる。…それこそ、アイの熱を暴走させてしまうほどに。それが…アイが俺のところに 残った俺の理由なんじゃないかな?」
翔は特に話したことのない、アイへの想いを告げる。アイ自身、翔を「慰めてあげる」のは承知していたしそれが役目としてビデオテープから出てきたのだから、それを完遂すればいいことではあったが、翔はアイに対して『ずっと』傍にいてほしいと言う。
「そうだなぁ、再生上限の三ヵ月と言うのも過ぎたけど、こうして存在しているわけだしな。翔の叶えてほしいことがずっと一緒、に替わった時点でオレの存在意義がかわったのかもしれないな」
何となく、暖炉の火を見つめながら、そばに翔がいることを幸せに感じているアイだった。
アイ は一度消えた身。確実に一か月は翔の元から消えていたのは事実だった。そして、翔自身に区切りがついたとき、アイは翔の姿を見て、翔と抱き合っていた。… その後からは、どんなに強く翔を思っても、好きになっても、愛しても、アイは熱暴走することもなく、同時に消えかかることもなくなっていた。アイが消える 瞬間、翔のことを思って、だが熱が出ない自分の身体、ビデオデッキを見て、熱が出ないことに、人間と言う物がどういうものなのか、うらやましくも感じてい た。
一か月、姿を消しても、アイの思考は残ったままのような気がアイはしていた。だから、翔たちが「途中まで」しかできなかったアニメをアイも見届けにやってきて、戻れなくなてしまったのかもしれない。
そんな理由は色々とあるが結局、アイはビデオテープの再生期間を超過し消えることは無くなったのが現実のようだった。
「これからオレの面倒も見てくれないと怒るぞ」
「…慰めてくれるのはアイの方じゃないのかよ?」
「オレはちゃんとオレの仕事をするぜ?だけど、そのまま放置と言う訳にもいかなくなったと言う自覚を持ってくれ。ということだよ」
「…アイが近くに居てくれればそれで十分だよ。…また、よろしくな」
「ああ、この『世界』で、よろしくな」
Fin.