四つ目の不思議
唯一ふり向いたのは、翠紅と同じ名前の美玖だった。
翠紅が話を聞くと、彼女も死に場所を探して毎晩、眠らぬ街を彷徨っているそうだ。
お互いが仲間だね、その言葉に温かみも笑みもなく美玖が言う。
もちろん翠紅だって笑顔を返さない。
ただ彷徨う仲間が出来て、お互いの死に場所を探すのに効率的になっただけ。
美玖はそっと冷たい手で翠紅の手を取った
冷たい手、お互いこのままじっとししていれば死ねるかな?
翠紅が訊く。美玖は力なく首を振る。
冬の雪山か、海にでも入水しないと無理。
美玖が言う。
道はある。二人で歩いていこう。
そのうち、飛び込みだってできるところに出るかもしれない。
翠紅と美玖は宛てなく、彷徨い歩き出した。
お互いが死ねる場所を求めて。